【創業支援コラム】20151008 貸倒損失は認められない! 別冊 教えて税理士さんより

FMヨコハマの「教えて税理士さん」を2016年1月から3月の期間担当することになりました。

本日は、別冊「教えて税理士さん」にてお話させていただいた「貸倒損失は認められない」について対話形式で進めていきたいと思います。

企業経営をしていくうえで発生させてはいけない「貸倒損失」を創業・起業の段階で、しっかり認識していることはとても大切なことです。

Web版でも聞いてもらえれば何よりです。

http://www.tochizei.or.jp/voice/index06.html

2015.09.30 1-貸倒損失は認められない!

 

登場人物は2人ですすめていきます。

 

Director  以下 D:

Koike     以下 K:

 

D:

今回はどんなお話しですか?

K:

今回は、貸倒損失についてお話していきます。

モノを売る時に、現金で販売していれば問題はないでしょうが、そうでないケースにおこる話です。商取引では、現金決済よりも、掛売の場合が多いのです。

D:

掛売ってなんですか?

K:

代金はあとで受け取ることを前提に商品を売ることです。

D:

商取引ではありそうですね。

K:

あとから代金の回収をする場合ですが、この代金の回収がおこなわれていれば、問題にはなりません。

ところが、この代金の回収ができなくなった場合に問題が生じます。いわゆる「貸倒れ」という事態が生じます。

商品を販売したときに、売上を計上した部分を取り消す処理。お金をもらえる権利をあきらめる処理をしたものが、貸倒損失となります。

ここで今回の一つ目のポイントです。

税務上ですが、貸倒損失として認められるケースは、限られた事由に限定されています。

乱暴な言い方をすれば、

税務上、貸倒損失は、認められていないのです。

D:

そうなのですか。代金回収ができなかったら、即、貸倒損失と考えてはいけないのですか?

K:

「代金回収ができなくなった」

この事実を客観性を持って決めるのは、難しいことなのですね。

税務上、貸倒損失が認められる場合を基本通達で規定しています。

この基本通達に決められたケースにあてはまれば、貸倒損失として処理することができます。

D:

一応、認められているのですね。

K:

はい、認められていますが、今日のお話しを聞く上では認めていないという前提で聞いてもらったほうが良いと思います。課税側は、安易に認めていないと思っているほうが実務的には正しいと思います。

D:

深い話になりそうな予感がしてきました。

K:

では、3つの通達を見ていきましょう。

1つ目は、会社更生法、民事再生法の適用があり、債権の切り捨てが生じた場合などが該当します。わかりやすく言えば、会社はこのままいくとつぶれます。裁判所等にお願いして会社を立ち直らせるために、話し合った結果、あなたに払う金額を半分にしてくれたら立ち直れるので債権を半分に法的に減らす手続きを取りました。といわれた場合です。法的に切り捨てられてしまったので、債権との主張は絶対できません。だから債権を減らしなさいという基本通達です。

D:

あまりお目にかかれそうな状況ではないですね。

K:

会社更生法に絞れば、2010年以降日本航空含め10社程度のものです。つぶれてしまえば、大変な事態が起こるという判断がなければ、会社更生法の適用はないかもしれません。会社更生法のみではないので、件数はもっと増えますが、この基本通達を適用できるケースは、お目にかかりにくいと思います。

D:

2つ目の基本通達も気になり始めてきました。

K:

それでは、2つ目です。債務者の資産状況、支払能力等からみて全額が回収できないことが明らかになった場合に貸倒損失が認められるものです。

D:

今度はお目にかかれそうな気がします。

K:

確かに、一つ目よりは、お目にかかれそうな気がします。でも、なかなかお目にかかれないかもしれません。

あなたが、私にお金を10万円貸してくれました。私は生活が苦しくなり返せない状況が続いています。あなたは返ってこないならせめて貸倒損失を計上しようと思っていると仮定してください。

質問を3つさせてください。

1.私の資産状をどう調べ立証しますか?

2.支払能力をどう調べ立証しますか?

3.全額、あくまで全額回収できないことが明らかになったことをどう立証しますか?

D:

調べたり、立証したりとなると相当難しいですね。

K:

なかなかお目にかかれないと思います。

自己破産を裁判所に申立て完結している場合とか、かなり限定的になってくると思います。

また、自己破産を裁判所に申立て完結したときに貸倒損失を計上すべき時期になります。翌事業年度等では、貸倒損失は認められなくなります。利益操作に貸倒損失を使うこともできませんので注意してください。

D:

3つ目を教えてください。

K:

3つ目は、債権には時効あるので時効になった場合との調整と債権の取立費用の方が債権額より高額になる場合を規定しているものです。時効が成立してしまった場合、当然回収できなくなってしまいますが、時効になるような、ズボラな管理体制はしてはいけないということです。正常な適正な企業活動を行っていて時効を主張されることはないはずです。

D:

税務上、通常の業務の中で貸倒損失を認めてないという考え方が分かってきました。

K:

通常の業務の中でというより適切な言葉を加えていただきありがとうございます。

貸倒損失の計上時期をいつにするかは、現預金を伴わない費用なので客観性を示しづらいです。税務上は先ほどの基本通達に示されたようにある意味、明確な時期がわかるものに限定して債権の消滅を規定しています。

きっちり読まないとリスクにもなりかねないのですが、この基本通達を見て感じてもらいたいことは、貸倒損失をおこさない企業経営をするということです。これが、今回の2つ目のポイントです。

大手企業は貸倒損失をおこさない工夫をしっかりと講じています。

例えば、個人宛に商品を発送するならば、現金の授受がない限り発送はしないでしょう。代引で発送などはしないと思います。このような貸倒損失をおこさない処置をしっかり講じています。中小企業は、大手のようなブランドがない分、現金を先に授受するのが難しい部分もあるかもしれません。

でも、創意と工夫で貸倒損失がおこらない仕組みをしっかりやっていく必要があるのです。

飲食店で食事の提供をしている。

①食べた直後にレジでお金を請求する。

②1週間後郵送で請求書を送付する。

入金予定日に入金がなかった

①すぐに丁寧な文面で再請求書を送る。

②決算時にまとめて再請求書を送った。

極端な例かもしれませんが、②で業務を行っていたら債権未回収状況がどんどん発生します。請求書を発行するタイミングも工夫の一つなのです。

D:

貸倒損失は認められないのだから貸倒損失は作らないという考え方ですね。

K:

今回の2つのポイントを端的にまとめていただき、ありがとうございます。

税務上、貸倒損失として認められるケースは、限られているので、貸倒損失をおこさない企業経営をすることの大切さにつながってほしいです。税務の知識を経営に活用していく大切な考え方でもあると思います。本日はありがとうございました。

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